2012年1月9日月曜日

アップストリームの時代 【上流へ】

世界的に景気が失速しており、資源価格も下落をしているなか、世界最大規模の企業のエクソンモービルの日本撤退は何を意味しているのか、気になるところです。

旧セブンシスターズは、オイルメジャーとも言われ、探鉱から採掘、精製、物流、販売まで、すべてを手がけ、自分たちの思うままに世界の石油市場を牛耳ってきました。ナショナリズムの高まりによって、国営石油にその権益を奪われ、その地位が若干低下はしましたが、依然としてスーパーメジャーの支配力の強さは変わりません。

BHPビリトン、リオテイント、ヴァーレなどの鉄鉱石、石炭のメジャーも有名ですが、穀物のカーギル、ADMなども寡占体制をどんどん進めており、また数年後には、とんでもないえちごや系の値上げも十分ありうるなと。

景気が低迷したときに、ライバルを買占め、そして景気回復期にそれを刈り取ると。ホント嫌なやつらですわ。今は、新興国の伸びが凄くて、ホント彼らは笑いが止まらないと思いますけど、今後どーなるんでしょうね。

精製部門を含む下流部門は、ダウンストリームと呼ばれ、対になるものとして、上流と言われるアップストリームがあるんですが、ここ最近は、アホみたいに儲かっているんですよね。そりゃー、川下のちまちました仕事がアホに思えてきますよ、あんなに儲かったら。


●米エクソンが事実上の日本撤退へ、東ゼネに株式・事業売却で調整
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE80301V20120104

2012年1月8日日曜日

流通と小売を根底から変えるアマゾン【一人勝ちはとめられない】

以前から何度もアマゾンのことは書いていますが、周りの話を聞いたり、大型書店が廃業しているを目の当たりにすると、アマゾンの独走はとめられないなと。ハードとソフトを囲い込んでしまって、市場を席巻した企業を挙げると、ここ5年では「アマゾンとアップル」の二社と言っても誰も異論はないと思います。

私は、どちらに賭けるかと言ったら、アマゾンですね。確かにアップルの街中での遭遇率の高さと言ったらそりゃ、単一機種として、さらには価格からしても、驚異的なものかと。また、利益率からみても粗利が半分近くというのも驚愕の数字でもあります。吉野家的な商法で、極めて高い利益率を誇り、さらにはItuneで囲い込みをして、多くのユーザーを囲い込んだわけですが、それは、ジョブス氏のカリスマによるところも多かったわけです。私は、数年後は、強力なコンペティターが表れて、今の独占的な立場がいつ奪われてもおかしくないと思っています。

その点、アマゾンは、多くの人が「ネットで本を買ってるよ」と私の周りでも聞くようになったくらい、市民権を得て、反対に書店の大手がどんどんつぶれている光景を見て、アマゾンの一人がちだわと思いました。これは、ブランドの凄さだけでなく、流通網をがっちり押さえてしまい、さらにはテールの法則という今までは無視されていた市場までがっつりと抱え込んでしまったことがあります。おまけに、マーケティング凄さも見せ付けてくれますが、過去の属性の分析をPOSなどで行うと同時に、デーマイニングなども取り入れることによって、関連書籍のセールスを行い、販売機会を拡大していることです。おそらく、この機能で20%は売り上げが上がっているのではなかろうかと。

マックでお勧めをするのと似ていますが、潜在的な顧客を取り込むマーケティングはすげーなと。

じわじわと、しかも確実に前進し、既存の小売のシェアを奪い、潜在顧客の需要を掘り起こして商売につなげるという姿、1年、2年後の姿が楽しみでもあります。こういったところは、やっぱり、アメ公はすげーなと思いますよ。

2012年1月7日土曜日

アルセロール・ミッタルと新日鉄住金【世界の粗鋼王は?】

アルセロール・ミッタルがダントツだなーと。力技でM&Aをやってきたわけですが、景気が上り調子の時はいいですけど、下り坂に差し掛かると、過剰設備が重くのしかかってくるんですよね。通常三つの過剰と言われる「雇用、設備、債務」がトリプルパンチで効いてきて、経済成長が金利などを上回っている時はいいものの、逆転などしたら、もう目も当てられない状況かと。

素材産業は基礎研究が品質を大きく左右するわけですが、シームレスパイプや自動車などに使う高級鋼板などは、図体がでかくても新日鉄とかにはあと数十年かからないと勝てないと思います。ただ、札束でほっぺを叩けば話は別ですが・・・・。

新幹線のレールとか、車軸とかホント、中に入っている炭素とかの含有量がちょっと違うだけで、品質がモロかわってきますからね。

新日鉄の特許と言ったらそれは凄まじいもので、これに他の同業他社が勝てるかと言ったら、正直勝てません。しかし、規模でやられたら、いくら新日鉄といっても勝てるかなーと・・・・。ちなみに、新日鉄は、おととしのデータで36百万トン(世界ランク5位)、たったの13百万トン(世界ランク25位)で、足しても、たったの50百万トンで、ようやく中国の宝鋼を上回るレベルで、ミッタルには、倍以上の差があります。

経団連とかの大ボス、財界総理をやっていても、所詮サラリーマンはサラリーマン、ミッタルのように私財で、自分と会社が一蓮托生のなかでやっているような連中には勝てないと。ホント、建設用とか一般用の鉄は品質がそこまで求められないのでアルセロール・ミッタルのようなものでもぜんぜん問題ないんですけど、いわゆる高級鋼板とかは、まだまだ日本の技術がないときついところが結構多いですからね。

金の力で、世界の鉄鋼大手の軍門に下るか、それとも技術力で生き永らえるか、みものですね。


●新日鉄VSアルセロール・ミッタルVSポスコ
 http://www.morningstar.co.jp/event/1009/ms8/index.html

●粗鋼生産ランキング
 順位
(2010)企業名 本社所在地 2010
1 アルセロール・ミッタル (ArcelorMittal)ルクセンブルク
90.5
2 河北鋼鉄集団 (Hebei Steel Group)中国
52.9
3 上海宝鋼集団 (Baosteel) 中国
44.5
4 武漢鋼鉄 (Wuhan) 中国
36.6
5 新日本製鐵 (Nippon Steel) 日本
36.1
6 ポスコ (POSCO) 韓国
33.7
7 JFEスチール (JFE) 日本
32.7
8 江蘇沙鋼 (Jiangsu Shagang) 中国
30.1
9 首鋼集団 (Shougang) 中国
25.8
10 タタ・スチール (Tata Steel) インド
23.5

2012年1月6日金曜日

マレーシア政府も露骨だな【エアアジアの奮闘】

KL国際空港、通称KLIAは、通常のターミナルとLCC(バジェット航空)のターミナルが露骨に離れているんです。その間20KMくらいはあると思うんですけど、時間にして30分くらい離れているんです。直線距離だと500Mも無いくらいで、目と鼻の先なんですけど・・・・・。添付の地図を見てもらうとわかるんですけど、最長距離を大回りして行くんですw ホント露骨だなと。先週LCCのターミナルを利用したんですけど、建物も倉庫みたいで、超チープ感たっぷり。LCCがローコストキャリアの略も良くわかりますわ。シンガポールのバジェットターミナルも、ここはチャンギ空港か?と思うぐらい、露骨にチープな建物ですからねw

話がそれましたが、私がマレーシア政府でも、マレーシア航空(ナショナルフラッグ)の立場でも、間違いなく同じような露骨なことをすると思うんですけど、それにしてもエアアジアは、逞しいなと。開業が911事件の直後でしたし、このようなマレーシア政府の嫌がらせをものともせず、順調に業績を拡大し、今では、マレーシア航空の経営を支援するほどになってしまいましたw この会社は、叩き落しても叩き落しても這い上がってくると思いましたよ。

自前で、空港を作るとか、空港へのアクセス電車を自前でやるとかの計画が承認されては、潰されていますが、私は、エアアジアは、それにも負けず、快進撃を遂げると思っています。

航空業界も、今年と来年にさらに再編があるだろーなと。それにしても、このエアアジアのインド人の経営者はすげーわと思いました。世界最大の鉄鋼会社のアルセロール・ミッタルのミッタルの経営判断とかもすげーなと思いましたけど、普通の日本人経営者じゃあそこまでリスクをとった経営はできんなと思いましたよ。



2012年1月3日火曜日

発展途上国で華僑が金持ちな理由

インドネシアにちょっと前まで長期の出張で行っていたんですけど、ホント華僑の金持ちってすげーわと思いました。家の広さも凄いんですけど、作りもホント成金趣味ですごいんですわ。敷地の中はベンツがゴロゴロ転がっていますからね。

結構、勘違いしている人が多いんですが、発展途上国で暮らすと生活費が安いと思っている人が多いんですが、実は違って、現地で日本的な生活をすると、日本以上に金がかかるんですよね。逆に、現地人のような生活をして、便利な生活を放棄すればそこまでお金はかからないんですけど・・・・。

よく、インドネシアの華僑は、桁が違うといいますが、理由はいくつかあるんですよね。

1)プランテーションなど規模がでかい
2)スケールメリットが効く
3)製品の価格は大きく違わないのに、原価が安い
4)資本家と労働者の格差がでかい
5)華僑が経済を牛耳っている
  金融、物流、小売系は8割以上を華僑が牛耳っています。

個人的に思うのは、3)が一番大きいのかなと。確かに、凄いインフレでモノの値段が上がって、それに連動して多少は給与が上がっていますが、全く追いつかないほどですからね。

地域にもよりますが月給、一万円程度のところが極めて多く、製品価格はというと、日本のせいぜい7掛けくらいで、20分の1ということはないんですよね。それで、その差額が、華僑のふところに入ると。パームオイルとか、サトウキビとかのプランテーションって、見渡す限り、同じものが植えてあるんですけど、単一作物って、ホント効率がいいんですよね。中国人の性格をそのままあらわしているよーな。

2012年1月1日日曜日

アジアの奇跡・悲劇と人口ボーナス・オーナス

私が以前から指摘している人口動態の学説は、中国の少子高齢化の経済に対するインパクトという仮説が、ハーバード大学の人口学者デービッド・ブルームらの研究で提唱されたわけですが、彼らが10年ほど前に特定した「人口ボーナス(恩恵)」と「人口オーナス(負担)」の経済に与える影響の大きさが極めて大きいと言うことが実証されつつあります。

あと、私が主張してきているのが、「世の中にある組織と言う組織はピラミッド型でなければ維持できない」と言う説です。それは、身近なところでは家族組織から、学校組織、会社組織、軍隊、そして国家です。また、身近なところでは、相場の世界で勝って生き残っているヒトが全体のたったの5%未満ということもデータが証明しています。

私は国家の盛衰として「教育」「人口」「技術」と言う三つの柱があると考えており、それを実現させるための社会インフラが必要だと思っています。その社会インフラとは、港湾、空港、道路(高速道路網も含む)、鉄道、水道、電気と学校です。

「モノを作る前に教育によってヒトを作り」そして、モノは良好な社会インフラの下で、熟練した労働者の熟練した技術によって作られることが工業国の条件だと思っています。日本の強さとは、中小企業の強さでもあり、底辺の労働者の教育水準の高さでもあった訳です。

それを考えると、先進国の良いとこ取りをして、外資を導入してすごい勢いで成長した中国ですが、先進国になる前に「中所得国の罠」にはまってしまう訳です。また、各国が経済成長の過程で一度だけ享受できる人口ボーナスも2015年に使い果たしてしまう訳で、一人っ子政策の歪など、ものすごいスピードで国家の衰弱に繋がっていくわけです。戦争、大規模な疫病などの要因がなければこれは、既に統計によってほぼ確実に予想されていることであり、日本の事例を見るまでも無く、明らかなことです。本当に、マスコミ等でも既に騒がれていることですが、仮説が検証され、実証されるのがとても楽しみなことではあります。

アジア諸国は、キャッチアップ型の雁行型経済(雁が空を飛んでいるのが先進国を手本にしているのを比喩して)な訳で、コピー型経済と私は呼んでおり、先進国の経済、特にルックイースト政策に代表されるような近隣で最も効率的で最短期間で驚異的な経済成長を遂げ、さらには体系的にも文化的にも辺縁に位置する日本を真似るのが手っ取り早かった訳ですが、それは、10年、20年後の衰退という同じ姿の投影でしかないと思っています。

成長のエンジンは、無尽蔵にある廉価な労働力若しくは、安価に提供されるエネルギー(石油等)だった訳ですが、既に世界は、最後の有望市場であるインドに手をつけており、その先の向こうには、何も残っていないのが現実です。資本主義の未来、地球の未来がどうなるのか、試金石はここ1、2年でその道程は明らかになると思っていますがよほどの革命的なことがおきない限り、現状は打破できないと思っています。本当に、世の中とは、良くできているもので、問題を解決しても次々と問題が出てきます。その最たる例は、世の中が便利になっても、人間関係は便利にならず、逆に人間関係の希薄化等に起因して問題が発生していることは、皮肉でもあります。

私は、世の中には必ず、セーフティネットは必要だと思っていますが、過度なセーフティネットは、モラルハザードを惹起し、そのコストによって本体をも駄目にしてしまうと考えています。それは、現在の過度の医療行為であり、尊厳死の問題でも取り上げられていますが、無意味な生命維持活動や後期高齢者医療の問題だと思っています。

正直、いいとこ取りだけなんてできないんですよね。メリットがあれば、必ずデメリットがある。これは、世代間で需要の先食い、利益の先食いをしてしまったことを後世に残しているというのが一番の問題なんですけどね。そもそも、人生50年だったものが、人生80年になって、今まで何百年、何千年と続いてきた人口動態が、たったの50年のうちに大きく変わったことが影響を大きくしたことのほうが問題なんですけどね。それにみんな気づいていないと、気づいていても見ない振りをしていると。多くは問題を先送りにしているだけですけど、もう、先送りも限界に近づいていますから。


●中国は先進国になれない
 http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/01/post-23...





最大の強みだった豊富な労働力は過去のもの。巨大な成長マシンが一気に崩れる意外な理由とは



2011年12月31日土曜日

四大文明は何故生まれ、何故廃れたのか? 【盛者必衰???驕る者は・・・・??】

中東と言えば、近所に四大文明のうち3つが集積しています。文字の発明は、おそらく、紀元前の7000年頃に、亀の甲羅に字を書いた中国と言われていますが、中東エリアもそれに負けないものがありました。特にエジプトでは、紙のおおもととなるパピルスの発明、そしてピラミッドなどの高度な土木・建築技術を駆使して、現代でもその構造物が姿を残しています。それは、悠久の時間を経た現代から見ても驚くほど高度なものだと思います。 

測量技術が発達したのも、星を観察する技術が発達したのも、反乱するナイル川があってのものだと言われています。また、ナイルは、農耕生活という概念に繋がり、定住にも繋がりました。そして、農耕をすることによって、食物の保存の技術、また、流通が発展したと言います。言ってみると、「全ては必要によって生まれたもの」だと。創意工夫が様々な技術を生み出し、それが応用されるっていう過程をみるとホント面白いです。ひとつの技術がねずみ講のように広がっていきますからね。それも文字と紙があってのものだと思います。 

何よりも面白いのは、やっぱり、「記録をするということ」ですね。過去のデータを記録することによって、そこに法則を見つけ、それを将来の予測に生かすという知恵も文字という記録手法が見つかったからだと思っています。そして、発明や発見が学問として整理され、体系的に教科書や本として残されれば、非常に短時間で先人の経験を得ることが出来ます。改めて、文字の発明の偉大さを感じます。演繹とか帰納とか小難しい言葉も、いろんな法則を記録することで見つかったんだなって改めて感じます。いわゆるノウハウってやつですね。 

そして、何故、このような高度な文明を持ったものが滅んでしまい、今は、発展途上国などとして呼ばれているのでしょうか、非常に悩むところでもありました。きっとポテンシャルはきわめて高いと思います。知能検査をしたら日本人なんか凌駕するくらいの能力をもっているかもしれません。あと、面白い話を聞いたんですが、「国民馬鹿化計画」というのが多くの発展途上国で行われています。昔は、知識人や学者とかが知恵をつけて、暴動や革命を起こす元となるということで、一般大衆は馬鹿になるように教育プログラムが定められているといいますが、まさに日本もそれなのかなと思います。間違ったことを言われても、逆に自分が間違っているんじゃないかと錯覚に陥ることがありますが、いまの政治がまさにそれですね。こんな感じで、ゆとり教育が10年、20年と続けられてきたことから、骨抜きが進んできたのだなと改めて感じました。 

発展途上国では、一度金持ちになったら没落しないようなシステムができているところが多いです。実業家が政治家を兼ねて、自分の好きなように法律を変える。ですから、一般市民が知恵をつけて、のし上がるのが怖いんだと思います。ただ、情報化の時代、インターネットや携帯電話でいつでも、どこでも世界中の情報が共有できるようになりました。アクセス制限がかかっていて見えないものの、この第三の波の情報革命がもたらしたものは極めて大きいと思います。