国会で道路族が非難されることが多く、更にはストロー現象として地方が疲弊することが槍玉に挙げられるわけですが、高速道路や高速鉄道(新幹線)の普及により、日帰り圏が増え、出張が短期間になると同時に、都市圏が拡大しました。これは、私たちの日常のメリットを挙げた訳ですが、もっとメリットが大きいのが物流でしょう。物流はロジスティクスとも言われ、日本名は兵站です。要するに戦争用語で、後方支援とか補給とかを表す言葉です。ビジネスでも戦争用語が当たり前のように使われていますが、ビジネスって戦争なんですよね。保存食や冷凍食品も戦争からの派生だと思っていますし、食料配送もそのノウハウだと思っています。特に現代社会は、列島の大動脈とも形容されるように高速道路が寸断されたら、物流が寸断され、私たちの便利な日常生活が成り立たなくなってしまうんです。それを理解しないで、高速道路を一律、反対するのはどうなのかな?とも思っています。確かに、地方の利用率が低いところを建設するのはいかがなものかと思いますが、少なくとも首都圏においてはそれはないはずですので、ミッシングリンクと言われて機能が果たせていない環状線として、外環や圏央道、中央環状線はとっととつくって繋げてもらいたいもんです。糞詰まりになっていたところが改善するだけで、劇的な変化が見られたのは中央環状線の環七エリアが開通したことで実感された方も多いと思います。イオンやジャスコのようなGSMと呼ばれる大規模小売店やCVS(コンビニ)も、コールドチェーンと高速道路によって成り立っているところが大きいと思うんですよ。実際に、地震や台風、大雨なんかで高速道路網が寸断されたら、JIT(ジャストインタイム)のサプライチェーンが簡単に寸断されてしまいましたからね。今後、環状道路ができれば、大規模な物流センターがその周辺にできて、ビジネスをまた変えていくと思います。タイトルの「冷凍技術と物流革命とセントラルキッチン」がセットになって、私たちの生活を大きく変えたなと最近は本当に実感しています。この成功モデルは、海外でもコピーできますが、インフラが整っていないと無理ですからね。たくさん食糧が生産できても、劣悪なインフラのためその廃棄率が半分に及ぶと言われているインドなんかでは、高速道路網とコールドチェーンがきちんと導入されたら、劇的に経済は変わるでしょうが、現状では無理でしょう。仮にできたとしても30年くらいはかかるんじゃないでしょうか。
メリットとは、いわばデメリットとオフセットの関係にあり、便利になった反面、時間差などはあっても必ずデメリットが発生します。物流革命によって、それまで域内で完結していた生産活動等が、高速道路などの整備によって域外と短時間で結び付けられたことによって経済圏が拡大する反面、雇用が失われたりしている事実があるのも無視できない事実です。便利になる代償と言うのは極めて大きいんだなと思います。目先はメリットだなと思っても、中長期ではデメリットになることの代表例では、医療技術がありますが、最終的には地獄の沙汰も金次第と言うことになるのでしょうか。本当に、ここ最近思うのは、学問の功績というのは極めて大きいなと。先人が築き上げて土台があるからこそ、その先のステップに短時間で進むことができますからね。体系的に法則を示すだけでなくそれを多くの人が理解可能な形まで咀嚼して文章にするというのは、グーテンベルグの活版印刷の登場以降に加速度的に広がったものと思っていますが、やはり、直近のそれを加速度的に普及させた功績といえばインターネットと廉価なPCの登場と言っても過言ではないでしょうし、誰も異論は無いでしょう。何といっても、POS(Point Of Sales)販売時点管理システムなどにより、売れ筋商品、死に筋が瞬時に把握できるだけでなく、物流システムなどにより在庫状況も逐次把握できますからね。特にインターネットが学問や産業の発展に貢献した功績は極めて大きいです。
規格大量生産のお陰で、IT関係の機器は恐ろしく廉価になり、本当に、多くの人が簡単に手に入れられるほど値段は劇的に下がり、10年ちょっと前まではパソコンと言えば20万以上という価格も平気でしたものが、今はたったの数万円で手に入ります。携帯電話のスマートフォンもその範疇に入れると、5万円以内で世界にリアルタイムに繋がり、その一方で自分から世界に情報を発信もできるのです。特に携帯電話の世界的な爆発的な普及の後押しもあり、ネット人口は劇的に増えました。あとは、スマートフォンの登場やPDA、タブレットの登場が大きいでしょう。これが、バーコードなどを読み取る端末としても使われ、検品などにも流用できるわけですからね。専用機を買わずに済みますし、汎用性が極めて高まりますから。このように、ITがIT革命と呼ばれるように、様々な革命を起こしましたが、物流革命も極めて貢献度が高いと思っています。見える化って言葉が流行っていますが、数値化して多くのものが容易に管理できるようになった訳です。これは、IT機器が劇的に値下がりして、利用しやすくなったことがその背景にあると思います。
前置きが長くなりましたが、ネットの革命と同じように、物流革命や冷凍技術、保存技術の発展に伴って、街の風景も一変しましたね。良い面では、便利になったと。悪い面では、どこに行っても同じ風景になったと。ホント、前にも話したことがあるのですが、大手の東京資本の会社が金太郎飴方式でチェーン店を全国に拡大したんですよね。これは、MNC(多国籍企業)の展開パターンと全く同じです。ビジネスモデルを作り、スケールメリットで拡大をすることなんですよね。特に、保存技術や物流革命が小売や企業戦略に貢献したその貢献度は極めて大きいと思っています。なにせ、冷凍することによって、保存が利き、目の前で作らなくてもすむようになりましたからね。知ったかぶりをする人が「こりゃ冷凍だから」とかグルメぶっていますけど、そういう人でも恩恵をむちゃくちゃ受けているのは明白ですからね。冷凍技術がなかったら、廉価にあれだけバラエティに富んだメニューは提供できませんから。あとは、家庭での料理の負担もメチャクチャ冷凍食品のお陰で減りました。それにメリットは長期で保存できることですからね。お米なんかの穀物も長期の保存に適していますが、生鮮食料品なんかは、一週間以上保存するのには適していないものが結構多いですから、冷凍技術のお陰で、外食が変わった以上に、家庭の料理環境も変わったと言えるでしょう。冷凍という技術が一般的になる前は、捨てるという選択肢しかなかった訳ですが、冷凍し保存することによって、収穫期を気にすることなく、そして原料だけでなく、加工品をも保存できることができるようになったことによって、家庭の生活スタイルも大きく変わったと思います。買い物に費やす時間と調理に費やす時間が冷凍食品によって劇的に減った家庭もあるかと思います。主食って、保存のしやすさから穀物が主役となっている訳ですが、これが変わる可能性も十分にあるのかなと思うことがあります。何といっても、農耕の概念って、定住をするようになってから、いわゆる農業革命の根本を成すものだと思っているんですよね。それよりも、狩猟中心の定住をせずに、色々なところを転々としていた時代って言うのが私の立場からすると想像できないんですよね。まぁ、人口が急激に増えたのは、農耕技術の進歩や保存技術を確立したっていうのもありますが、それにしても人類は短期間にえらい勢いで増えたもんです。
冷凍技術といえば、マグロ漁船がその走りだと思いますが、やっぱり身近なところでは、加藤吉次郎氏の加ト吉(テーブルマーク)でしょう。讃岐うどんを冷凍技術をもとに全国に広めた功績は極めて大きいと思います。加藤氏は、会社が大きくなっても自ら駐車場で交通整理をしていたという話を聞いたことがあります。小さいころに苦労して、そして会社を大きくしただけに、循環取引などの不祥事があったり、JTに公開買い付けをされたりなど、私が想像していた加ト吉の将来像とは違ったものになってしまったのは残念でしたが・・・・。最近では、ABI 株式会社(アビー)が生み出したセルアライブシステム冷凍(CAS冷凍、CAS凍結、細胞蘇生システム)、リキッドフリーザ、トンネルフリーザなども徐々に浸透しているようで、今まで冷凍に適さなかったものまでも冷凍することが可能になって、驚きました。今後も冷凍技術は進歩し、冷凍庫の問題さえ解決できれば、食糧問題は、かなり解決できるんじゃないかと思いました。ちなみに、これらの技術は、再生医療にも用いられていると聞き、二度驚きました。まだ、発展の余地のある冷凍技術ですが、CAS技術以外にも、ある物質を微量混ぜると氷点下でも凍らないものもあるとのことで、今後も技術革新は進みそうです。ひょっとすると腐ると言う概念、常温保存という概念から、微生物を活動させない又は成長を促進させない技術が出てくるかもしれません。
さて、冷凍技術の他は、HACAPのような食品の管理手法が体系的になったおかげで、食中毒がどのレベルで起きるのかとか、どうやったら菌を殺すことができるかというのが学問的に究明されて、体系化することができましたから、そのようなメリットも極めて大きいと思っています。このような単体でみるとそれほどインパクトはなくても、それを組み合わせて使うことができれば、いろんな商機が生まれます。商売に目ざとい人は、このようなところに嗅覚をつかって、ビジネスチャンスを生み出しているのでしょう。街道沿いに全国で同じような風景になってしまって、服や外食、スーパーまで同じような光景になりましたが、これも冷凍技術、物流革命、セントラルキッチンのお陰だと思っています。特に、外食はこの三つが絡んでいるだけに、完全に金太郎飴式のビジネスモデルだと思っています。ガスとやバーミヤンなどを展開するスカイラーク、そしてイタリアンを見事にファミレスにしたサイゼリア、ジョナサン、デニーズ、ロイヤルホストなどは冷凍技術とセントラルキッチンの恩恵を受けて、ここまで遍く普及したと考えています。まぁ、ロードサイドが全国どこでも同じような景色になってしまったという弊害もありますが・・・・。製造業においては、製造工程のノウハウ、特に素材系は、熱処理などや低温脆性、水素脆性、応力破壊など、気の遠くなるようなノウハウの蓄積が必要ですが、サービス業はそのような極めて時間がかかるような制約が少ないため、戦略がしっかりして、顕在的・潜在的需要の分析ができれば、短期間でのし上がることも可能です。食料品関係は、保存技術と冷凍技術はまだまだ未知の技術が山ほどありますが、概ね主要な骨格は確立された言えるので、あとは生産のところでしょうか。植物工場とかもできてきていますし、バイオ関係の今後の技術革新が楽しみですね。
日本は、世界各国に先駆け、少子高齢化が進み、成熟社会から衰退社会に突入します。便利になったインフラ、そして運営などのソフトウェアも世界一と言っても過言ではないほどの充実度ですが、衰退の時代、どうなるんでしょうね。国がこういうところに、補助を出したり、あとは税制面でメリットを与えたりして援護射撃をすれば、将来的に国益に繋がると思うんですけどね。
日本での成功モデルを、雁行型(キャッチアップ型)の経済発展をした東南アジアなど、日本の成功モデルをほぼそのまま当てはめていますが、どうなるんでしょうかね。知恵と言うのは、出すのはタダです。いくら考えても出費はありませんし、お金はかかりません。おそらく、人類の英知でなにか画期的なものが見つかるでしょう。
●セントラルキッチン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3
●冷凍食品
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%B7%E5%87%8D%E9%A3%9F%E5%93%81
●コールドチェーン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3
●サプライチェーン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88
●ロジスティクス(兵站)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B9
●食品も細胞を組成させる「魔法」を作りたい
http://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=001201
ABI 株式会社(アビー)の技術です(セルアライブシステム冷凍)
CAS冷凍、CAS凍結、細胞蘇生システム
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