2012年5月8日火曜日

ドバイとは一体何であったのか?

さすがにやりすぎの感があったドバイはドバイショックでとどめを刺されましたね。そうは言っても、オイルマネーの中心地、そしてエミレーツのハブ空港などもあり、徐々に活況を取り戻しつつあるようですが、バブルがあまりに酷かったので、さすがに元には絶対に戻らないと思いますが、活況を取り戻しているようですね。

確かに、空港や港湾などのハブ施設、さらに船舶のメンテナンスなどの拠点、ビジネスの拠点という意味では、シンガポール的な発想で、インフラを作ってそれを呼び水にという目の付け方は間違いではないと思います。ただ、パームやワールドのような普通の発想を超えたものは如何なものかと思っていました。そうは言っても、ヤシの木を真似た埋め立てのリゾート地や世界を縮図にした埋立地は、飛行機からも見えて、さすがにやり過ぎでしょうと思っていました。ホント、発想がアホですよ。でも、その下品さも好きですけどね。

「山高ければ谷深し」とはよく言ったものです。ドバイは、原油がGDPの僅か、4%程度を占めるのみで、一日の産出量も10万バレルと、VLCC(よく見る大型タンカーで通常は30万トンクラスで200万バレルの原油が輸送可能です)の積載容量を満たすためには、二十日もかかります。ちなみに、日本の原油の一日の使用量(500万バレル/日)の半分にもなりません。サウジやクェートの油田は、桁が全く違うので、比較対象にすらならないので、ドバイは、油以外にシフトしようとして投資をしすぎちゃったせいで、大やけどをしちゃったみたいです。

降雨量より蒸発量が圧倒的に多い砂漠気候で、強引に淡水化装置を使って水を作っていて、逆浸透膜(ポンプがすごい電気を消費します)にしろ沸騰式(沸かすので、すごい熱量が必要、また沸点を下げるとしてもポンプが必要)にしろ莫大な燃料を要するので、よほどの産油国でない限り、これを維持するのは難しいと思います。シンガポールも水の確保で苦労していますが、それとはコストが一桁も二桁も違います。シンガポールは熱帯雨林気候でバンバン雨が降りますが、ここは違います。夏場には50度を超え、地理的なメリットはあっても他は殆どメリットが見出せません。

一方、サウジアラビアは、こんな投資はしていないので、静観しています。数年前に、オープンした住友化学のラピーグのプラントなど、近い将来、再度起こるであろう資源高に備えて、確実に主導権を握れる投資を進めています。アラビアンライトはWTIが100ドルだったらマイナス10ドルぐらいかなーと思っています。オイルブローカーの話によると、中東の油は重いから処理に手間がかかると言っていました。そうは言っても、産油のコストが高く見積もって5ドルとしても、FOB渡しで85ドル丸まる利益になるわけですから、すごい話です。で、油は売り物ですから、原発を作って、安い電気を作りたいみたいです。

で、だいぶ前の話ですが、鳩山さんは、住友化学のプラントのオープンの時に、サウジの国王クラスと同格の政治家を出さなかったことから、原発の受注の絶好の機会を逃したと言われています。ちなみに、新幹線や航空機でもそうですが、フランスやアメリカのように国家ぐるみで売り込みをかける姿勢を少しでも見習って欲しいです。国益ですからね。

我が国は、日立(BWR)、東芝(BWRとPWR)、三菱(PWR)と三社も原発を作れるメーカーがあります。東芝は、買収したWHのPWR(加圧式)とBWR(沸騰水式)の世界で主流の軽水炉の二タイプの原発を供給できる唯一のメーカーです。そして、開閉器やその他の制御機器なども一貫して供給できる世界でも少ない総合電機メーカーです。フランスのアレバの送電線網を6000億円で応札したと先日報道されていましたが、こういうところはスケールメリットがきくところですから、頑張ってやってもらいたいものです。特にスマートグリッドは注目されていますからね。でも、自己資本が足りないので、増資と言うのは勘弁ですけどね。


●パームのHP
http://www.thepalm.ae/
●ワールドのHP
http://www.theworld.ae/index.html
●デベのナキールのHP
http://www.nakheel.com/en




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