バルチック指数や「受注量、手持ち工事量、建造量」をみると厳しいなーと。造船大国、そして海運大国の日本が凋落し、さらに長期にわたり苦しんだ造船不況ですが、これは日本だけの問題にならず、今度は世界的な問題になります。
船は、今は船会社は自社で保有を減らし、船主から傭船するような契約が増えています。いわゆるエヒメオーナー、ギリシャオーナー、香港オーナーです。
それにしても、船腹があまりまくっているようですな。コンテナ船も余剰感がすごいらしいですけど、バルク船・バラ積み船ですね。穀物の輸送や鉄鉱石の輸送、石炭の輸送に使う船のタイプなんですけど、半端ないらしいですからね。
シリコンサイクル、クリスタルサイクルなんか比じゃないくらいの長さの造船不況のサイクルですから、一体どうなることやら。個人的には、昔は、造船大国として、さらには円安の恩恵があり、日本が圧倒的に優位な立場で船をつくることができましたが、中国と韓国がその市場に入ってきたことが極めて大きいです。特に中国の供給能力は半端なく大きく、生産が過剰になった場合のインパクトはとてつもなく大きく、その破壊力も大きいでしょう。眠っていた期間が長かった獅子ですが、10億以上も人口を抱える国ですから、勢いに乗ればすごいですからね。
船の供給国として造船不況の前までは、日本がダントツでした。その後、韓国、そして中国がそれに加わり、熾烈な競争が始まったのは皆さんご存知の通り。
●受注ゼロ…日本の造船業界に「2014年問題」の危機
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120304-00000077-san-bus_all
■再編&エコ 造船復活カギ
かつて世界を席巻した日本の造船業界が、2年後に造る船がなくなる「2014年問題」の危機に直面している。韓国や中国のライバルの後塵(こうじん)を拝し受注が激減しているためだ。危機感を募らせたJFEホールディングスとIHIが今年10月に造船子会社の統合に踏み切るほか、世界をリードする環境技術を生かした「エコシップ」の受注にも力を入れている。“造船ニッポン”は復活するのか。
【フォト】日本の環境技術を生かした「エコシップ」たち
◆韓国の5分の1
「韓国勢に大差を付けられてしまった」。日本造船工業会の釜和明会長(IHI社長)は2月21日の定例会見で唇をかんだ。同工業会によると、昨年1~6月の新造船受注量は385万トンと、前年同期から57%も激減。通貨ウォン安を武器に60%増と受注を急伸させた韓国の1805万トンの約5分の1にとどまった。中国も60%減の714万トンに落ち込んだが、日本のほぼ倍を獲得した。
船舶の建造はほとんどがドル建て契約。歴史的な円高によって、「無理に受注しても赤字を垂れ流すだけ」(業界関係者)という状況では、とても中韓勢に太刀打ちできない。価格競争が激しい中型タンカーに特化する住友重機械工業は11年度に一件も新規受注を獲得できない可能性があり、このままでは受注残が13年6月末でなくなる。JFEホールディングス傘下のユニバーサル造船やIHI傘下のIHIマリンユナイテッド(MU)、川崎重工業も、今後2年で受注残が底を突く。
◆技術力は世界一
「受注残ゼロ」の悪夢が現実味を帯びるなか、JFEとIHIが動いた。両社は08年4月に子会社のユニバーサルとMUの統合交渉に入ったが、その直後のリーマン・ショックでそれどころではなくなり頓挫していた。だが、昨秋にひそかに交渉を再開し、4年間も停滞していた交渉を数カ月でまとめ、今年1月30日に合意を発表した。合併後の売上高は約4千億円となり、国内トップの今治造船に迫る。両社は規模のメリットで造船コストの65%を占める材料費を削減し、年100億円規模の効率化効果を目指す。
狙いは、コスト削減だけではない。ユニバーサルの三島慎次郎社長は「開発陣を手厚くし、得意の省エネ船の開発を強化すれば韓国メーカーとも戦えるようになる」と意気込む。両社合わせた開発部門の人員は、計約1500人となり、国内で最も技術力が高いといわれる三菱重工業を上回る。
波や風の抵抗を受けにくい形状で、燃焼効率に優れたエンジンを搭載し、太陽光発電なども活用するエコシップには、釜・造船工業会会長が「世界トップ」と胸を張る技術力のアドバンテージがある。国際海事機関(IMO)が、14年1月以降に建造契約が結ばれる400トン以上の国際運航船舶に対し、二酸化炭素(CO2)排出量の最大30%削減を義務づける環境規制の導入を決めたことも追い風だ。MUは従来船より燃費性能を30%高めたコンテナ船、ユニバーサルは25%改善した鉄鉱石や石炭を運ぶバルク船の設計を完了。受注残ゼロ回避の切り札と位置付け、売り込んでいる。
◆ノウハウを売却
一方で、“門外不出”の技術やノウハウを海外メーカーに売り渡すというタブーをあえて犯す策に打って出たのが、三菱重工業だ。昨年12月にインドの建設機械大手ラーセン・アンド・トウブロと提携し、設計図などの技術を供与することで合意した。ライセンス収入を得るだけにとどまらず、将来的には合弁事業に発展させ、共同受注によって低コストの海外生産への道を開こうという深謀遠慮だ。
だが、経営統合やエコシップ、技術売却も生き残りの決め手にはならない。中韓勢が大量建造のため、造船所を増やし続けてきた一方、海運会社はリーマン前の世界的な好景気に浮かれて大量発注した結果、船舶が有り余っている。供給過剰が一段と強まるのは確実で、「中国勢の投げ売り受注で船価の下落がさらに加速する」(業界関係者)と懸念されている。
価格競争力で大きく劣る日本勢は、さらに厳しい戦いを強いられる。国土交通省が昨年7月にまとめた報告書は造船業の国際競争力強化に向け、「連携や統合が必要」と指摘した。
「われわれの統合に加わろうという会社が増えれば、喜んで受け入れる」。ユニバーサル造船の三島社長は、統合合意会見でこう呼びかけた。さらなる合従連衡によって、「日の丸造船」を誕生させ、総力を結集できるかが、復活のカギとなる。(今井裕治)
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